現の証拠
ふと目に入った小さな花。
探していると、意外と見つけられなくて。
でも何気なく目をやると見つかったりして。
触れると、肌触りも違うし、匂いも違う。
家に帰って調べたら、また新しい発見がある。
“観察”ほど楽しいものはない。
写真だけ撮って名前のわからない植物がまだたくさんある。
その扉をどんどん開けていくのが、なぞなぞを解くようで面白い。
この花の名前は『ゲンノショウコ』。
飲むとすぐに効き目があることから『現の証拠』というそう。
生薬として、下痢止めや整腸に使われてきたと。
今は薬も食べ物も豊富で、道端のものを口にしようなんて思わない。
昔これを初めて口にした人には、どんな背景があったんだろう。
「俺、腹下してて、でもお腹は空いて。もうなんでも食べちまえって思ってさ。この草食ったんだよ。そしたらピタっと下痢が治まってよ」
なんて。
それとも、道端の草花を調べている人がいて、干して煎じて根を食べてみたり、お茶にしてみたり。自分や飼い犬とかで試して見つけたんだろうか。
いずれにしても、現在はそうした人たちのおかげで便利に暮らせている。
先人たちへの感謝とともに、その知識を学び、先に伝えていくことも大事だな、と改めて思う。